お皿一枚、包装紙一枚に至るまで会員様のもの。

お皿一枚、包装紙一枚に至るまで会員様のもの。:

会員制ベーカリー・デッセムは、皆様のお蔭で開店半年を迎えようとしています。日本で初の試みになる「会員制ベーカリー」という発想は、突如思いついたものではなく西荻窪リスドォル・ミツを経営していた当初からの考えでした。でもうまくいくかどうか、先例が無いだけに不安でした。

皆様もご存知のように3・11以来、放射能からの恐怖というのは大変なものでした。私の健康はどうなっても構いませんが、食品加工業に携わる身として放射能の影響が少なからずある東京の西荻窪で「パン作り」というのは、とても抵抗がありました。空気中の放射能のおそれがあるところで、それ以上パン作りをするのは私自身の心の中で許されることではありませんでした。西荻窪はフクイチから230キロしか離れていません。これはチェルノブイリ基準からしますと、明らかに避難区域です。引っ越した山梨県富士川町はフクイチから330キロ離れています。

このように書くと、あるいわ反発する方もいらっしゃるかもしれません。現にいろいろな事情で関東地区を離れられない方、若しくはもっとフクイチに近い距離にお住まいで離れられない方も数多くいらっしゃると思います。ここで誤解していただきたくないのは、くどいようですが一番心配したのは“パン作り”の現場をより良い場所に移したという事なのです。パンに必要なのは粉も勿論ですが酵母、水、そして空気です。その空気が汚染されていたのでは、いくら無添加パン作りに傾注すると言っても「無理」な話です。

会員制ベーカリーという発想は、放射能に対し少なからず恐れを感じている方々、そしてより「無添加のパン」を求めていらっしゃる方々がどれくらいいらっしゃるか、というのが発想の原点でした。最初は何人いらっしゃるか、何十人いらっしゃるか、皆目見当が付きませんでした。当初の予定では数十人の方々のご賛同を得て、田舎の過疎の村の限界集落と言われるところで石釜を設え、細々と一人で「パン作り」をするつもりでした。ところがフタを開けてみたら数百人の方々の「いいね」というご賛同を得ました。慌てた私は当初の方向性を思いっきり変更せざるを得なくなりました。数十人と数百人では、供給するパンの量も違ってきます。限界集落で、という発想はもう無理と判断しました。そのようなわけで今の形態になったわけですが、皆様のお蔭で「ふるさと納税」の返礼品として商品を供給できるようになりました。また二月初旬から近くの「道の駅」で商品を置かせて頂けるようになりました。

スタッフに常日頃言っていることがあります。「皿一枚、包装紙一枚に至るまで会員様のものであり、廣瀬個人のものは何もない」と。私は無給で働かせて頂いております。妻は朝から晩まで働いて一か月8万円を頂戴しております。私たちの生活は私の年金と、妻がデッセムから頂戴する8万円で家計をやりくりしています。私は朝5時から夕方5時ごろまで働かせて頂いています。でも、毎日が嬉しくて、楽しくて、充実しております。パンの香りに包まれているだけで幸せです。

これも会員様のお蔭です。これからも発足当時の想いを忘れず、頑張らせて頂きます。

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