「衝撃」でした。

「衝撃」でした。
――― フィジー報告 ―――

二年前の春、大型サイクロンがヴァニラの生産地ラキラキ村を襲いました。何が「衝撃」だったかと言いますと、それを機会に10人ほどだったヴァニラ生産農家の方々が数人お亡くなりになり、そして運よく生存ななさった方々もヴァニラの生産を止めてしまったことです。

ヴァニラは小川のそばの湿地帯で生産地です。小川のそばという事は大きなサイクロンが来ればひとたまりもなく、土地ごと流されてしまいます。ただでさえオーガニック・ヴァニラは自然環境が大きく作用します。土地ごと流されてしまった生産農家の方々には、本当に多くに情熱を注いで頂いていたにも関わらず、このような事態になり何とも慰めの言葉もありませんでした。

今回のフィジー訪問は信頼している日本人の友人Tさんの助言によるものでした。「ヴァニラはまだ出来ていませんが私も素人ですので加減がわかりません。廣瀬さんが一度見に来て、どれくらいの生産が見込めるものなのかを見極めてください。そして生産農家の方々を励まして頂きたい。」と言う助言によるものでした。

私も訪問するまではどれくらいの「完成品」があるのか、そしてヴァニラの生育状況がどれくらいか解らない状況でしたので、多くの方々にご協力金をお願いする際“大変投機的な意味合いが濃いお話ですが”という前提のもとにご厚志をお願いしました。結論ですが写真のようにまだまだ小さいのです。

現地で撮った写真をご覧ください。長さは約8センチ、そして太さは1センチもありません。ヴァニラは加工し熟成させないとあの馥郁とした芳香が出てまいりません。収穫前のヴァニラは15センチ以上、そして太さは1,8センチです。それを72℃の温度のお湯に30分つけ、毛布でくるみ土の中で約3日間寝かし、さらに天日干しにより最低1,5か月は待たないと皆さんのご存知のようなヴァニラビーンズは出来上がりません。

私が見たところ完全に収穫できるのが今年の4月末、そして熟成し乾燥し終わるのが7月初旬から中旬、と言ったところです。今回ご厚志を頂戴した皆様には申し訳ない気持ちでいっぱいですが、私も今回現地に赴き、残った生産農家の方々を3時間もかけて説得できて非常に良かったと思います。ご厚志を頂戴した方々には、ヴァニラの代わりに食パンを1本(三斤)とお約束通りデッセムのバッジを送らせて頂きます。

なを7月には先にあげたTさんよりヴァニラを送って頂くか、若しくはデッセムに新しく同志として入ってくれたAさんに現地まで赴いていただく予定です。

*後記:
山梨から成田までが車で3時間、成田からインチョンまでが2,5時間、そしてインチョンからフィジーまでが10時間。乗り継ぎの時間を入れないで15時間半かかります。67歳の私にすれば今年のキャパはもう限界でしょう。(笑)