今年一年を振り返って。

今年一年を振り返って。:

2017年、私にとって一生忘れられない年になるでしょう。思い返せば「会員制ベーカリー」としての考えは、何年も前に考えていたことでしたがこのように実現が早くなるとは思っていませんでした。

(1)デッセム開業への決断まで数か月を要しました。そして三点考えました。
まず第一に考えたのは私の健康の事でした。腹部大動脈瘤を抱えたままデッセムを経営する、という事にはかなりの躊躇いがありました。そして自分の中で出した結論は、手術を終えその経過を見て判断しようと思いました。そして3月の初旬に手術しました。退院後も回復は順調に推移し、半病人ではなく健康体になりました。

そして第二は妻への説得です。
私の実家がパン屋を営んでいるため、妻は当初私の実家を手伝うような考えでいたようです。つまり私は山梨へそして妻は高円寺へ、という実に不思議な夫婦が誕生するところでした。しかし実兄は私の妻が家業を手伝うことを良しとしませんでした。従って妻は私に着いてこざるを得なくなった、と言うのが本音でしょう。でも狛江生まれの狛江育ちの妻が、現在私の我儘にも似た「業」を手伝ってくれていることに対し、感謝の気持ちを持っています。

三点目は「社会正義」という点です。
ご存知の方はご存知のように、私は一度会社を潰した人間です。3・11以降の放射能の問題があったにしても、会社を閉鎖するというのは社会に対し、またその時雇用していた従業員に対し申し訳が立ちません。端的に言うのなら、放射能のことなど知らんぷりしてそのままパン屋を続けることが“社会正義”なのか、それとも放射能の危険の少ない地で新たにパン屋を創業するのが“社会正義”なのか、正直、迷いました。

(2)「会員制」という発想
私を小さいころから見てきてた叔父がこう言いました。「会員制などと言って、多くの方々を誑かそうとしてるんじゃないの。頼むから手が後ろに回ることだけは止めろよ。」と口を極めて忠告されました。でも私の中で「会員制ベーカリー」という発想はなくなりませんでした。

金持ちだけが美味しくて安全なものを食べ、お金のない方はマアマアのもので安全なものでないものを食す、という世の中がオカシイと思いました。少額でもそれなりにお金を出し合っていけば、少なくともパンだけはユートピアに近いものが食せる、そんな世の中になったら幸せだと思います。そして行き着いたところがロウ・ベクレル、ノン・トランスファット、そして完全無添加という考えでした。

でもその考えを踏襲するためには大変な苦労を今もしております。ロクデナシ政府が決めた暫定基準値なるものは穀物類の場合100ベクレルでした。でも1ベクレルは人体の70億個もの細胞に影響を及ぼすと言われております。ですので可能な限り0,00の単位までベクレっていない原材料を探しました。そのため、当初の思惑とは違って「高い」パンになってしまっていることを、今ここで皆様にお詫びしなければなりません。

(3)現在までの経過
3月下旬―――会員様を募集し始めました。
5月末――――第一期会員様の募集を締め切りました。
会員様総数450名を数えました。
6月上旬―――山梨県南巨摩郡富士川町に場所を決定しました。
7月1日―――富士川町にこしました。
7月下旬―――動力電源が通りました。
8月中旬―――厨房設備の工事、内装が終わりました。
8月28日――山梨県民の方々に対し「開店」しました。
9月中旬―――会員様へ第一回のパンセットを送付し始めました。
12月11日―新しいスタッフが一人入りました。
以上が雑駁ながら現在までの経過です。

お知らせしております通り、廣瀬は無給です。妻は毎月8万
円頂戴しております。私は以前に会社を潰した人間です。で
すから社会に対する贖罪のつもりで働かせて頂いていま
す。住む分と食べる分は年金がありますので、それで生活し
ています。でも不思議なことに、無給でも毎日が楽しいので
す。来年3月で67歳になりますが、気力が充実しています。
高校の同級生の多くは老け込んで、退職してやることが無い
と嘆いています。私はパンの匂いがするところにいれば、元
気なのです。

本論から外れますが、私はこの「富士川町」というところが
本当に気に入っています。夏は沖縄より暑く、冬は北海道よ
り寒くなると言われている気候のこの富士川町が大好きで
す。北に八ヶ岳、西に櫛形山、東は四尾連湖、そして南は日
蓮宗の聖地と言われている身延です。あと10年、いやあと
6年早くに引っ越すべきでした。大気は清涼で水もノンベク
レルです。

(4)これからの展望
来年夏には無添加パン道場を富士川町で行う計画でいます。
プロアマ問わず、年齢も問わず、三泊四日くらいで「無添加
パン塾」をやりたいと考えております。

その目的は本当の意味での無添加パンと言うものの定義が
、最近特に崩れてきていることを実感しています。特に巷の
パン屋さんが、「無添加。天然酵母。石釜」という魔法の三
文字を使えば取り敢えずは繁盛する、というインチキ・コン
サルタントのいう事を聞いてきたからです。

本当の無添加パンとは
1) あらゆる化学的合成による食品添加物を使用しない。
2) 特に、発酵促進剤、乳化剤、保存料、香料、酵素剤、膨張剤等々を使用しない。
3) 酵母は自家培養した自然(天然)酵母を使用し、工業的に生産された酵母は使用しない。(予備発酵させるドライイーストはまだまし。)
4) ホームベーカリーなどの家庭用パン焼き器で作られたパンは、無添加とは言わない。
5) ショートニング、マーガリンは絶対に使用しない。
6) 小麦粉は国内産のもののみを使用。(北は盛岡、西は名古屋の大平洋岸は除く。)
のはずなのですが、今では大きな製パン企業までが嘘、偽、似非の「無添加」を標榜しております。

私はパン職人として些か歳を食いました。来年67歳です。今は会員様はじめ皆様のご厚志で生かされております。生来頭が悪い私は、巷の先生、ジャーナリスト、評論家と言われている方々とは比較にならないくらい論拠も論理も乏しいのです。でも45年間、食品加工の製造現場にいた、と言う自負心はどなたにも負けません。従いまして私の使命は「真の意味の無添加パン」を広めること、と認識しております。
ですからこれからは、早く人材を育て、日本は言うに及ばず、海外でも「無添加パン」を広めていきたいと考えております。

最後に:
皆様のご厚志で成り立っているデッセムを、私は命を懸けて守ります。人から何と言われても「無添加パン」を守ります。そして安全、安心な原材料があれば世界中のどこにでも飛んでまいります。たとえば、無給の私がフィジーに行くのは大変経済的にも辛いことです。でも参ります。なぜなら安心、安全な食材を探すのは、私の役割と思っているからです。

これからも、どうか、どうか、応援をよろしくお願いする次第です。

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